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【2025/07/09 02:38 】 |
細波の歌
迷いの森の続きになります。
今頃書いていて気がついたけど8人って人口密度多いね。
中々遊戯と遊星の会話する機会がない。
だめじゃん。

気にせず行ってみよう☆


細波の歌


賑やかな声に気がついて目が覚めた。
あまり聞きなれない声に体を起こせばそこはガレージのソファの上だった。
そう言えばと周囲を見回せばガレージに設置されていた小さなキッチンの方からその声は聞えてきた。
「ブルーノ君お皿出して」
「はい」
カチャカチャと少ない食器を並べているブルーノに呆気としていれば湯気の昇るフライパンを持って振り向いたのは遊戯さんだった。
「あ、遊星君おはよう」
「おはようございます・・・」
「遊星おはよう」
「おはよう」
と返事をするも今だ頭は眠っているのかぼんやりとしていれば
「待ってて、もう少しで朝ごはん用意できるから」
「朝ごはん・・・」
ぼんやりとしている俺と壁の隙間を縫うようにブルーノと遊戯さんは通り過ぎて用意されていた机に次々と朝食を並べていく。
「あ、手伝います」
「ありがとう!向うにスープの入った鍋があるから持ってきてくれるかな?」
「判りました」
言えばブルーノも一緒にキッチンへと来た。
「一体これはどう言う事だ?」
少なくとも遊戯さんは客で俺達が面倒を見るって言ったばかりなのにと言えば僕が起きてから少しして起きてきたのだけどと前置きをして
「朝食用意しますね、って言っていつものようにパンとミルクを出したら毎日こんな食事なの?って驚かれてしまってこれじゃあ駄目だって」
そうしてこうなったらしい。
小さくカットされた野菜のカップスープにこんがりと焼けたパン。小さなオムレツにはボイルされた野菜が添えられていた。
彩りも目に楽しい朝食に遊戯さんは満足気にテーブルを見下ろしていた。
「後はジャック君とクロウ君を起してくるだけだね」
言って二人の部屋へと向う後ろ姿にクロウはともかくジャックは難的だとブルーノと一緒についていけばこのにぎやかさにクロウは自発的に起きてくるもジャックは相変らずだった。
すっかり朝に弱くなっているのか何度声をかけても起きてこないジャックに部屋入れば一人気持ち良さそうに眠っていた。
「ジャック君朝ごはん出来たよ。起きて」
ゆさゆさと揺らすもこんな程度で起きるジャックではなく、俺が代わりに起こそうかと手を伸ばした所でしかたがないと遊戯さんは呟きおもむろに布団をまくったかと思えば足首を掴んで強引にベットから引き摺り下ろした。
ごんっ・・・
鈍い音から想像できる痛みと共に三人一緒になって呆気にとられていれば
「ジャック君起きて~」
必死の形相になって足を掴んで引きづりながら部屋を出ようとしていた。
さすがにジャックもあの痛みに目を覚ましていて首をめぐらして状況を確認していたが遊戯さんは気づかないのかそのまま階段に向っていく。
「遊戯さん待って」
「さすがに」
「まずいですよ!」
慌てて止めるも既にジャックの体は階段からずり落ちかけていた所を三人がかりで慌てて止める。
自分の身に何が起きようとしているのか理解したジャックも必死になって俺達にしがみ付き、漸くそこで遊戯さんは振り向いた。
「やっと起きた。おはよう」
朝に相応しい笑顔を向けられるもその笑顔に毒の賭け派も1つも含まれておらず、ひとつ呼吸を飲み込んだジャックは素直に
「おはよう」
とだけ返した。
それからテーブルに付けば何時もとは違うメニューにクロウもジャックも少し驚いていれば
「ブルーノ君に聞いたよ。インスタントばかりでみんな食事がいい加減じゃないか」
言いながら紅茶を注ぐ。ミルクはセルフサービスらしい。
食材さえついこの間まで手に入らなかった貧しい食生活に慣れていた俺達としては朝食があるだけでも十分だったのだが・・・それは遊戯さんは知らなくて良い事だ。
「みんなあのDホイールって言うの?それを運転しながらライディングデュエルって言うのをやるんだってね。
 この場合スポーツの要素も必要になるのに適当な食事ばかりじゃ体壊しちゃうよ」
尤もな言い分だとは判っているが、だが遊戯さんは膝の上に手を置き真面目な顔をして相棒と相談したんだけどと前置きをし
「僕がここにおいてもらってる間は君達の食生活の管理をさせて欲しいんだ」
驚く俺達に
「たぶんここでは僕はまったく役に立たないだろうから、せめて君達の力になりたい」
強い意志を秘めた言葉は既に遊戯さんの中でいつまでここにいるか判らないものの帰る日まで自分の役割をこなそうと決意したもの。
昨日の不安な顔はもう何処にもない。
強い瞳に俺達は目の前の人物が小柄なまでの幼い子供だと思っていたが確かにあの伝説のデュエリストだと肌で感じ思わず見たみんなの視線にコクンと頷いた。
「判りましたが一つ約束をしてください」
その真剣な瞳に目を向けて
「今の時代はあなたが居た時代より物凄く危険です。特にマーカー、俺とクロウみたいな黄色いラインが顔に入っている人には注意してください」
判らないと言うように首を傾げる遊戯さんに俺は少し心苦しい思いしながらもはっきりと告げる。
「過去に何らかの犯罪に手を染めた罪の証です」
え?と言うように驚きに目を見開いてきょろきょろと視線が彷徨いピタリとD・ホイールに視線が止まる。
「例えばスピード違反とか?」
思わぬ質問に俺達の方が驚いてしまうも、それだけ遊戯さんの時代は平和だと言うことを実感し、遊戯さんもどうやら検討はずれの言葉だと察して恥かしそうに俯いてしまえば、
「警察に厄介になった。そう言う意味だな?」
ニヤリと不敵に笑うのは遊戯さんでは無い。名もなき王の何処か鋭い視線に初対面のブルーノは驚くも俺は小さく頷く。
「だそうだ相棒。間違ってもかっこいいとか言って真似してマーカー入れないでくれよ」
おかしそうに笑いながら独り言を言ってなにやら頭を庇いだした仕種に呆気にとられていれば、急に顔を上げたかと思えば真っ赤に照れた顔が周囲を探すようにきょろきょろと慌しく振り向き
「もう一人の僕!内緒って約束したばかりなのに何でそう言うこと言うの!」
席まで立って何もない宙の方に向って真っ赤な顔で吠える遊戯さんを俺達はそろってポカンと眺める。
「だからそうじゃなくって・・・」
ただ判るのは遊戯さんが名もなき王に言い負かされたようでギリギリと握る手が力なくだらんと下がったかと思えばそのままぺたんと椅子に座る。
俯きながら真っ赤な顔で。
不覚にもついこの間まで尊敬の念が止まなかった相手なのに可愛いと思ってしまってクスリと小さく笑ってしまった。
それがまるで合図かのようにジャックもクロウもブルーノも面と向ってではないが顔を背けてくつくつと笑い出し
「みんなして意地悪しないでよ」
逆に虐めたくなるような小さな抵抗に俺は笑い声を抑えて改めて正面から言う。
「もし何処か行きたい場合は俺達に言ってください。
 この街に慣れるまで案内します」
護衛も兼ねてなんては言えないけど、遊戯さんが住んでいた街とは言えかつての面影のないこの街を間違っても一人では歩かせれない。
「じゃあよろしく頼むね遊星君」
思わぬ指名に何故かジャックとクロウの冷たい視線が刺さり、思いっきり足を踏まれるも、目の前でおいしそうにスープを飲む遊戯さんのほっとした表情に俺は思わず呻き声を上げそうになった声を何とか耐える事に成功した。

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【2010/09/28 16:37 】 | 星帯の橋
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