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【2025/07/09 03:03 】 |
テンペスト 09
ここでストック切れですテンペスト(笑)
拍手ありがとうございます。
遊星×遊戯普及の為に頑張って続きを書くぞ~!
そして遊星×遊戯増えろ~☆

テンペスト 09


仕方がなくと言うように足を進める。
学校最寄の駅前にあるオープンテラスの喫茶店は休日と言う事もあっていつも見慣れた雰囲気とは別の店を見ているようだった。
目的の人物を探すもこの暑さにわざわざ店のエアコンのない場所で時間を潰す奇特な人物は見受けれなかった。
だが店内の、一面ガラス張りの向こう側に見慣れた人物が居た。
俺を呼び出した人物によく似た、もう一人の人物。
まさか・・・と思いながらも店の中に踏み込めば、クリームソーダを飲んでいた彼は俺の姿を見て大きく手を振っていた。
驚きに目を瞠りながら足を向ければ
「遊戯・・・」
「良かった。昨日連絡したのが遅かったからメールに気付いてもらえないかと思った」
にっこりと笑いながら目の前の席をどうぞと勧めてくれた。
勧められるまま座れば、遊戯の背後のテーブルに座る異国の男と目が合い、小さく頭を下げた。
人の良さそうな顔だが何処か視線の鋭い、先日遊戯に似た人物の背後に控えていた男。
記憶から消すにはまだ時間が短く、挨拶をするようにぺこりと頭を下げれば遊戯が彼はマハードでアテムの・・・お世話係かな?何て簡単な紹介をしてくれた。
単なる世話係では無い事は放つ気配で判るが、あえて考えながらそういった所は彼の性格に所以が在るのだろう。
それには口を出さず
「所でアテムは?」
遊戯が居て彼が居ないのはどう言う事だと言えば、ソーダの上に乗っかるアイスがまだ溶けていない所を見ればまだ来たばかりなのだろう。
ソーダを口に一口含めば店員がやってきて、アイスティーを注文する。
「アテムは、家の都合でこれなくなっちゃったんだ」
昨日の夜に時間とか決めていたんだけど、今朝になって家の方から使いがやってきて問答無用で何処かに連れて行かれたと言う。
ああ言う性格だからそれぐらい強引じゃないとアテムに言う事を聞かせる事が出来ないんだけどねと呆れながら言うも、彼の故郷は遠い異国の地。
わざわざ来るって事は何かあったのだろうかと考えるも想像は付かない。
「本当なら三人で映画とか見に行こうかって予定してたんだけど」
お礼とか行ってたけど遊びに行くつもりだったのかと少し拍子抜けするも
「久振りに先輩に会ったのに映画館で過すって言うのもなんか勿体無いよね」
スプーンの先っぽでアイスを突付きながら呟く遊戯。
「ちなみに映画は何を見に行く予定だったんだ」
聞けばポケットから今日から封切されたスタントなしのカーチェイスが見物の映画のタイトルだったチケットを取り出した。
ジャックが見たがっていたなと思っている間に
「折角だから別の所にしようか」
あまり興味が無く乗り気じゃないのかどこかそわそわしだした遊戯の態度に気づかれないように苦笑。
「俺は別に構わないが、言うからには何処か行きたい所があるのか?」
聞けば遊戯は短い間少し考え
「海馬ランドがいい!」
はしゃぐ遊戯に彼の背後の気配が驚いたように少し振り向く。
「確か新しいアトラクションが少し前に入ったな」
これはクロウからの情報だ。
「うん。一度ためしてみたかったんだけどここの所バタバタしちゃったからね」
言って失笑。
背後の人は何処か申し訳なさそうに肩が震えていたが見なかった事にする。
そんなわけで海馬ランドでも良いかな?と言う上目遣いのお願いに嫌だとは言えない。
もともと何所に行きたいかも考えてなかったのだ。
遊戯のリクエストなら叶えてあげたいと思うのは、何所かでやはり諦め切れなかったからだろう。
遅れて出されたアイスティーを急いで飲めば席を立つ。
同時に背後に座っていた人物も立ち上がり俺達の伝票を拾い上げる。
彼が会計を済ませているうちに遊戯は最後の一口をいそいで飲み店を後にした。
店頭で遊戯はマハードとか言う世話係に向って何かを話し、彼は流暢なこの国の言葉で「彼をおねがいします」と頭を下げて店の正面にあるコインパーキングに止めた車に乗り颯爽と何処かへ向って走り去って行ってしまった。
車が見えなくなるまで手を振っていた遊戯はくるりと俺を見上げ
「じゃあ行こうか」
駅に向って歩き出した足に遊戯も巻けず劣らずマイペースと言うわけかと苦笑しその足並みの隣に並ぶ。
「楽しみだね」
無邪気に笑みを向けられてつられるように笑い返す。
「そうだな」
何処か急ぎ足なのは浮き足立っているからだろうか。
久しぶりの再会は目的地に向うまでの僅か数十分の間も最近の近状を交換し、近く始まる夏休みの予定をお互い交換した。



広いホテルの室内で足を組んで不貞腐れていた。
何故かそこには海馬が居て、遠い故郷の従姉兄までその場に居た。
拾い机には書類がいくつも並び、お互いの背後にはいつも以上の黒服の男達が固めている。
「では、契約成立と言う事で」
「ふむ。相変らずそつの無い契約だ」
サインを書き込む海馬の書類が回ってきて同じようにサインを入れる。
お互いサイン済みの書類を革張りのホルダーに入れ俺の変りに従姉のイシズが代理と言うように契約の握手を海馬とする。
俺は不貞腐れた態度を隠しもせず机に足を乗せてサイン入れる以外動こうとしなかったのを誰も窘める事が出来なかった。
従兄のマリクは最後まで溜息を止めなかったが、海馬はその険悪な俺の態度を楽しそうに眺めていた。
「なんだ。そんなに遊戯との時間を邪魔にされたのが悔しいのか」
喉を鳴らしてくつくつと笑う意地の悪い笑みにキッとそれだけで人が殺せるのでは無いかと言う視線を向ければ彼の機嫌が悪い理由に誰とも無く呆れ果てる。
「今日は相棒と映画を見るはずだった」
ポツリと悔しそうに言う言葉にそんなのいつでもいけるだろうと心の中で突っ込んだ。

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【2010/10/29 18:15 】 | テンペスト
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