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【2025/07/09 05:32 】 |
妖精の輪 02
妖精の輪の続きになります。

久振りに無印の遊戯王を見たらやっぱり面白くって悶えました(笑)
うん。最終回間際の腰の細さは反則だと思います。
GXの大人の遊戯さんの色気も更に反則だと思います。

関係ないけどテイルズのマイソロ3におっさん参戦!
買うしかないでしょ!<正直者☆


妖精の輪 02


外に出ればすぐに判ると言うものでは無い。
特に見知らぬ場所では捜査網をただ広げるだけの結果となる。
キョロキョロ周囲を見回しながら歩けば校舎沿いを歩いていたはずなのにいつの間にか花壇に迷い込み脇道にそれ鬱蒼とした木々の茂った場所で完全に自分達の位置を見失っていた。
それに気づいたときは既に遅く、もう一人のボクと一緒に途方に暮れていればふわりと目の前に飛び出したクリボーが僕達を励ますように愛嬌ある動きでボク達を励ましてくれた。
「ありがとうクリボー」
モコモコとした体を抱きかかえようとすればクリボーは森の一角へと視線を投げそのまま真っ直ぐ飛び跳ねるように移動してしまった。
「待って!」
突然の行動に先に動き出したもう一人のボクに手を引っ張られながら追いかければ足を止めたクリボーは開けた花壇の陽だまりの中にいた。
見た事あるようなないような、クリボーにそっくりなでも微妙に違うデュエルモンスターがそこにいた。
クリボーは親しげにそのそっくりさんとじゃれあうように遊び始めるのを見て
「誰?」
女の子の声が広がった。
だけどその声には聞き覚えがあり
「龍可ちゃん?」
視界を遮っていた木の陰から出れば、花壇の隅に置かれた小さな陽だまりの中にあるベンチに龍可ちゃんは座っていた。
「遊戯」
驚いた顔のまま立ち上がりなんでこんな所にと傍までよって来てくれた。
遊星君と来た事を一通り説明して、途中アキさんに会ってデュエルしたまでは良かったのだけど
「実は迷子になって・・・」
はははと失笑を零すも龍可ちゃんは笑う事もなく
「ここ校舎の裏側であまり人が来ないの」
だけどここには校舎へと続く道があり、そっちへと指を伸ばす。
「静かだからお気に入りの場所なんだ」
一年を通してお花も咲いているのよと花壇を彩る草花に手を広げる。
「素敵な所だね」
ぐるりと見回してもどこにも建物が見えず、ちょっとした隠れ場所みたいだ。
「で、龍可ちゃんは一人で何でここに?」
龍亞君は何処かなときょろきょろと見回していれば龍可ちゃんは恥かしそうに顔を赤く染めて俯く。
「龍亞ったらあの子宿題を3日連続で忘れて終わるまで居残りなの!」
俯いたと思ったら握り拳を振り上げて空に向かって吠えた。
あまりの勢いに思わず逃げ腰になって苦笑を零せば
「今日こそ遊戯にギャフンといわせる!なんていって遊星の所から帰ったら寝るまでデッキ作りに夢中になってるのだもの。
 宿題やりなさいよって何度言っても人の話し聞かないのよ?」
もう知らないなんて言うも、ここでちゃんと龍亞君の事を待っている龍可ちゃんの優しさに思わず笑みが浮んでしまう。
「ねぇ」と心の中でもう一人のボクに話しかける。
もう一人のボクは小さく頷いたのを見てデッキに手を伸ばしカードを一枚取り出す。
取り出されたカードの絵を見て龍可ちゃんの瞳が期待に輝く。
「ブラックマジシャンガール出てきて」
それが呪文のように、元気な彼女はぽんと勢いよくカードから飛び出してきた。
「マスター!」
嬉しそうにボク達に視線を向けた彼女はもう一人の視線に気づいてにっこりと笑う。
「すごい!ひょっとして遊戯のブラックマジシャンガール?今喋ったけどひょっとして精霊?」
何所か遊びに行っていたクリボーたちが戻ってきた。
「精霊って言うんだね」
普通にデュエルモンスターって呼んでたねボク達ともう一人のボクに言えば、もう一人のボクも感心したように頷き
「龍亞君が来るまでみんなで遊ぼうか」
正直女の子の遊びなんて知らないからブラックマジシャンガールに来てもらったのだけど、やっぱり女の子同士気が合うのか花壇に咲く花ではない、なの知らない小さな花を摘んでは花冠を作り出し、手を取り合って歩く姿が微笑ましいねなんて言えば
「・・・ブラックマジシャンガール、実体化してないか?」
もう一人のボクの言葉にその繋がる手を見て驚きに「ええー?!」って悲鳴が上がる。
どうしたのと振り返る二人よりも早くその二人の元に駆け寄り杖を握るブラックマジシャンガールの手を取り確かめれば・・・
「実体化している」
ほんのりと温かな体温。
ふわりとスパイシーで、だけど甘い女の子の香り。
そして何よりも確かな感触にブラックマジシャンガールも驚くのも束の間
「マスター!」
嬉しそうに首にしがみ付いて宙をくるくると回る。
「わ、わっ!」
一緒にくるくると回りながら、そしてバランスを崩してしりもちをついたのはボクだけで、宙から覗き込むようにブラックマジシャンガールが浮いていた。
驚いたように龍可ちゃんが駆け寄ってきて手を貸してくれるから手を借りて起き上がるも、相棒と呼ばれてカードケースからもう一枚のカードを取り出す。
「ブラックマジシャンも来て」
呼びかければそこに現れた姿をみんなで見上げ、とりあえずその丈の長い服の裾を軽く引っ張る。
おや?と訝しげな視線でボクを見下ろしたブラックマジシャンにボクは相棒と入れ代わる。
杖を持つ手とは反対の手を掴み
「やっぱり実体化してる」
「すごーい・・・」
他に何て言えば良いのか判らない龍可ちゃんは感動の溜息を零し落としながら「初めまして」と挨拶をした。
「具現化なんてアキさんの力みたいだわ」
アキさんの力の意味がわからず首を傾げれば彼女と出会った頃の、まだ魔女と恐れられていた頃の話しを端的に教えてくれた。
恐れられた時代があって、みんなに恐怖を植え付けて、でも遊星君に救われてそして今ではその力を失っているという説明に遊星君すごいなと口には出さず率直に感心をしながら、教室で孤独に耐えていた彼女を思い出す。
今は大好きな両親と一緒に暮らしているのとまるで自分の事のように嬉しそうに話す龍可ちゃんによかったねと心配させないようにと自らの過ちの過去を乗り切ろうとする彼女の意思を尊重して今は黙っている事を優先した。

とりあえずと、5人で車座を作りながらこの現象について話し合う。
「はっきり言うけど、精霊界に行った時は向うの世界だからみんなの姿はもちろん実体化していたわ。
 だけど、こっちでは私の仲間には触れ合ったりは出来るけど、みんなには見えないみたい」
例外はあるけど、現れる精霊は仲の良い仲間だけで、呼びかければ答えてもくれる。もしくはよほどの危険な時に現れてくれると思い出しながら教えてくれた。
「俺達もよほどの危険な時か、こうやって呼びかけた時現れるが、触れ合うような実体化したのは無いな」
と思いだす。
「ブラックマジシャンはどう思う?」
ふわふわと幽体の相棒が語りかければひとつ頷いたブラックマジシャンはある仮定を一つ立てた。
「我々を見る事が出来るこちらの人間はとても数少ないがいないわけでは無い。そして更に呼び出すことの出来る者は更に少ない」
他にもう一人いたが、この場には三人限り。
とても希少な人材な事をブラックマジシャンは俺達に告げた。
喋れるのだと妙な所で感心している合間にそれこそ仮定になるのだが、と前置きをするブラックマジシャンの話しを聞く。
「三人の力が少なからず影響を与え具現化する力が強くなっているのではと私は考える」
もう一人のボクと龍可ちゃんと三人で視線を合わせた。



「遊星」
デュエル場の修理をしていると聞いていたから授業後にそこに足を運べば、遊星が一人マシンに凭れていずれやってくるだろう人物を待っていた。
一人手持ちぶたさの遊星は目を瞑り眠ってるようにも見えたが、私がやってきた事でその青い瞳は開く。
「アキか」
待ち人とは違う姿に何処か残念そうな声音にも聞こえたが
「遊戯はまだ来てないの?」
きょろきょろと周囲を見回せば眉間を狭めた遊星がどう言う事だと聞く。
一時間前に終わった授業の出来事を伝え、とっくにここに向っている事を言えば、遊星は怪訝な顔でまだ来て居ないと言う。
「ひょっとして迷子になってるとか・・・」
決して狭いとはいえないこのアカデミアの敷地にまさかねと言えば遊星は首からぶら下がる来客用のパスを私に見せながら
「これがあるから大丈夫だろ?」
まさかと言うような遊星の言葉に最悪の事を聞く。
「遊戯はそのパスの使い方を知っているの?」
その一言に表情が凍る。
まさかねと思う間もなく遊星が走り出した。
その後ろ姿を追うように建物の中にはもういないだろうと判断した遊星は窓から飛び出し人気のない林のほうへと向う。
「遊星!」
木々の枝に消えていく姿はすぐに見失い、呼ぶ声に答えない背中をいつまでも見送る事はなく、外に繋がる扉を探し走り出せば
「アレ?アキ姉今帰り?」
ポンと投げ出された呼びかけに振り向けばそこには龍亞が一人立っていた。
「今帰りって、龍亞こそこんな時間にどうしたのよ」
小等部はとっくに帰っている時間だ。
それこそどうしたのと聞けば
「宿題忘れて居残りなんだ」
あはは・・・と空笑いする龍亞に呆れて溜息を零すも
「今から一人で帰るの?」
薄っすらと暗くなりだした空の移り変わりに聞くも
「裏の花壇で龍可が待ってるんだ」
一緒に帰るから大丈夫だと言う龍亞に呆れながら
「じゃあ、花壇まで送って行ってあげる」
アカデミア内とは言えあまり人のよらない裏の花壇に一人で歩かせるのはどうかしらと考えながら、宿題に愚痴る龍亞のいい訳を聞きながら少し冷たくなりだした陽射に身を震わせ遊星が遊戯を見つけ出したかしらと心配は尽きないでいた。

アカデミアの裏に花壇がある事は龍可から聞いていた。
あまり人がよらなくって静かな場所だから気にいっていると、居残りする龍亞を待つ時はいつもそこで待っていると前に言っていた事を思い出し、ひょっとしたらと期待を込めて林の中を駆け抜けた。
大体の場所は何度か見た地図で把握していたが実際の目測は少しずれていて、楽しそうな話し声を聞き逃していたら危うく行き過ぎる所だった。
足を止めてその声の方へと耳を傾ける。
子供独特の高い声は確かに龍可のもの。
幾つか聞きなれない声がいくつかあったが、そこから確かに聞えた。
「遊戯!龍可!」
名前を呼んでその声の方へと足を運べば花壇の真ん中にあるあまり綺麗に生え揃ってない芝生に龍可と遊戯が座っていた。
「遊星!」
龍可が嬉しそうに立ち上がり足音軽く駆け寄ってきた。
「よくここがわかったわね」
見上げる視線に笑みを浮かべながらその小さな頭を撫でる。
「前に龍可がこの庭の事を話していた事を思い出してな」
だから来たといえばまだ座ったままの遊戯に視線を向ける。
キョトンとした顔は次第に大きな瞳がこぼれん落ちんばかりに見開きそして嬉しそうに目を細める。
「やっと会えた」
探してたんだと言っては本当は迷子になっちゃったんだけどねと苦笑する遊戯さんの正面に膝を付く。
「探しました」
無事見つかってよかったと言えば心配掛けてごめんなさいと上目遣いのまま俺の様子を窺う視線はまるで叱られた子供そのもの。
「無事で何よりでした」
その細い肩を思わず抱きしめた。
「あ、あああ・・・」
「遊星?!」
遊戯さんの戸惑う声と龍可のひっくり返った呼びかけになんだ?と視線を向けるも何処か龍可の赤い顔と胸元からのもぞもぞとした、抵抗と言うにはささやかなものだが頬を擽るその毛先に視線を下げれば何処か恨めしそうな瞳が俺を睨んでいた。と言うか寧ろ可愛らしいが。
暫らくの間睨まれた後、意味する所の手を離す。
「すみません。安心したので思わず・・・」
言えば本当にそれだけかと言うような龍可の視線に冷や汗を流すも小さな溜息を吐き出した遊戯さんは何時もの表情に変り、何時もの穏やかな笑みさえ浮かべる。
背後では龍可の呆れた溜息の追加に自分の予想だにしない行動を改めた。
「それよりもさっきは他にも声が聞えたようだが」
周囲を見回しても他に人のいた気配は無い。
気配はあったはずなのに周囲には二人の足跡以外何もない。
気のせいだと周囲に気を配るのを止めれば「おーい」と何所から元気な声が聞えた。
振り向く間もなく龍可が大きな声で「龍亞」と呼ぶ。
龍可の手を上げた先をみれば龍亞とアキが揃って駆けて来た。
遠回りしてきたのか随分と息を切らしたがアキが呼吸を整える間もなく文句を言う。
「急に走って行くのだもの」
「・・・すまない」
すっかりアキの事を忘れて駆け出していた事を今になって思い出す。
女の子を置いて行くなんてどういうこと?!と言う主張はもっともで、龍亞と龍可はもちろん遊戯さんの視線まで非難轟々だ。
だけど
「ふふふ」
遊戯さんが不意に小さく笑う。
誰ともなく遊戯さんを見れば
「何か面白い物を見ちゃったね」
にっこりと笑みを浮かべる遊戯さんに何が面白い物かと思えば
「ボク遊星君の動揺する姿って想像つかなかったもの」
ネ?とみんなに同意を求めればポカンと無意識のように頷くのを見て愕然とする。
「・・・」
「じゃなくって。遊星、決して面白いって言う事じゃないのよ」
慌ててアキさんにフォローされるも今更の言葉は虚しいだけだ。
はははと乾いた笑みを零す双子が何とか場をやり過ごそうとするも
「それより早くこのパスを返して帰ろうよ」
何処か気まずい空気の俺とアキの間に入り俺達の腕を掴み歩き出す。
「今日はシチューを作る予定なんだ。龍亞君も龍亞ちゃんも食べていきなよ」
もちろんアキさんもねと振り返って笑う遊戯さんに向って恨む言葉を見つける事が出来なかった。

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【2010/10/15 00:00 】 | 星帯の橋
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