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【2025/07/09 15:45 】 |
テンペスト 04
暫らく予約投稿続きます遊星×表のテンペストシリーズです。
学パロ、クロスオーバーが苦手な方は逃げてください!

テンペスト 04


「あれ?遊星じゃん。珍しいな、バイトもない日にこんな遅く」
アパートのドアを開ければ奥の部屋からクロウがやってきた。
「ああ、ちょっと出かけててな」
部屋の灯りを付ければ当然と言うようにクロウが入ってきた。
小さな机にデッキを置けばクロウが目ざとく目新しいカードを見つけ出した。
「ひょっとしてカード買いに行ってたのか?」
何が出たか見せろよと早速手にしたカードは譲ってもらったばかりのカードだった。
「良いのが出たじゃん」
ヒュウと口笛まで鳴らすクロウに
「実は交換してもらったんだ」
クロウからそのカードを取り上げ譲ってもらったカードを机の上に広げて見せた。
並べたカードにクロウは眉間にくっきりと皺を刻み
「おいおい、なんつーもん譲ってもらってるんだよ」
うわーうわーと冷や汗流すクロウを横目にデッキを広げる。
「問題はデッキの再構築なんだが・・・」
「こりゃ大幅に入れ替えか?」
クロウから見てもそうならきっとそうなるのだろう。
「俺としては今のままこれを全部入れたいのだが・・・」
「無理だ。いや、やっぱり入れろ」
「全部入れると無駄に重くなるだけだな」
「俺の為にも入れろ」
「アドバイスか邪魔するだけかどっちかにしてくれ」
「俺としては邪魔をするだな」
当然だと言うように対面に座るクロウは譲ってもらったばかりのカードを繁々と見る。
「にしても太っ腹な奴が居たな。って、くれたやつ誰だ?可愛かったか?」
寧ろそっちが重要と言うように身を乗り出してきたクロウの顔を手で押さえ押し返す。
「先日あった一年生だ。クロウの基準なら可愛いか?」
一年生の知り合いといえばまだあの赤の他人の双子の二人しかいない。
「ああ、可愛いなら遊戯の方か?」
もう一人の方は物騒でおっかねぇとおどけて身をすくめて見せる姿に思わず頷いてしまうのは不遜な態度から言っても冗談には聞えなかったから。
更に言えばまだ脳裏に焼き付いているあのデュエル。
あの気迫と何所までも挑戦的な笑み。
頂点に立った者だけの自信に粟立つ肌と共に寒気得さえ覚えた。
クロウも同じように感じたのかむき出しの腕を擦りながらこの間のデュエルのディスクを取り出した。



結局デッキ再構築に3日掛かった。
だが問題は・・・同じ学校なのに遊戯が在籍するクラスを知らなかった。
さらにフルネームさえ知らない。
探すのは困難になりそうだなと一年生のクラスが並ぶ廊下で途方に暮れていれば
「ふざけるなあぁっ!!!」
すぐそばの教室から思わず耳を塞ぎたくなるような罵声に俺でなくても通りかかった生徒達は教室を覗き込んでいた。
教室の中心では一人の長身の生徒が乱暴にも胸倉を掴んでいた。
「おいおい」
乱暴だなと思う間もなくその顔が見知った物で思わず目を瞠った。
そこで吊るし上げにされている顔は見覚えのある顔。但しそれはよく似た顔の方。
その二人の周囲を見回せば予想通りすぐ横に彼は居た。
一体何があったのかと呼ぼうとする前に遊戯が俺に気づいてその場をそっと抜け出してきてくれた。
「先輩・・・」
「一体何があったんだ?」
聞けば俺の手を引いて三年がいてもあまり目立たない所まで移動した。
「なんていえばいいのかな・・・」
少し考え込むように俯いた顔だったがすぐに俺を見上げ
「今の海馬君なんだけど・・・」
知ってるよね?と言う視線に小さく頷く。
この国の現チャンピオンで、この学校の理事長。
高校生が理事長って一体なんだと思うも海馬コーポレーションの代表取締役社長であればこの学校の創立者として当然なんだろうが・・・それが後輩となるとなんとなく納得できない。
「昨日アテムが海馬コーポレーションの取材に行かなくて、それが海馬君との対談だったらしいんだ。
 延々海馬君は待たされる事になって・・・」
「ああなったと言うわけか」
思わず溜息さえこぼれてしまいそうな理由にそれであんな事になっているのかと思えば
「それで先輩はどうしたの?」
まさか偶然通りかかって覗いたって理由じゃないよねと言う視線に笑みを浮かべる視線に一つ頷く。
「ああ、やっと新しいデッキが出来た」
ぱあっと雲が晴れた青空のような笑みで俺を見上げ
「じゃあ今日の帰りに・・・あ、でもな」
と顔を曇らせたかと思えばなにやら喧騒が近付いてくる。
「だから今から貴様が昨日すっぽかした取材だと言うのがわからんのかっ!!」
「1回戦優勝者だからと言っていちいち取材を受ける理由は無いっ!!!」
「俺の貴重な時間を無駄に・・・」
「それこそ俺の貴重な時間を貴様に・・・」
近づく声に遊戯は俺ごと柱の影に隠れて二人が通り過ぎるのを見守る。
アテムのチョーカーを握りしめた海馬はずるずると引きづりながら入り口に待たせていた黒服の男達に半ば攫うように抱え込んでそのまますぐ目の前に止めた車の中に誘拐でもするような勢いのまま去って行ってしまった。
「あーあ、強引なんだから」
それだけでまとめていいのかと目の下の頭に訴えるもやがて見えなくなった車に視線を投げていた遊戯がくるりと振り向いたかと思えば
「うん。今日はこれで予定が空いたから帰りにまたボクの家でよかったら」
と言ってくれるも
「前回遊戯の家にお邪魔したから今度は俺の所でどうだ?・・・と言っても古いアパートだけどな」
ちょっと自傷気味に言うも遊戯は気づかず嬉しそうにうんと言う。
「じゃあ授業後門の所で待ち合わせだ」
「了解!」
元気な返事が帰って来たかと思えば授業開始の合図が鳴る。
じゃあ授業後にと駆け足で去って行った後姿を見送っておれも教室へと足を運んだ。

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【2010/10/23 00:55 】 | テンペスト
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